紅葉の巡礼峠~「都心に一番近い天然温泉」七沢荘
昔、相模の国、丹沢山のふもとに、善良な村人が平和に暮らしていました。
きこりをする者、狩猟をする者、
耕作をする者と様々でしたが、
どこの村にいるように、仕事もろくすっぽしないで悪さに明け暮れている一握りの男達がいました。
この村には巡礼者がよく通る里山の道の入口がありました。
ある日、そこを年取った男の巡礼者と、その男の娘でしょうか、若い娘の巡礼者が通りました。それを村の悪者達が見つけました。
娘に目をつけたのです。
地の利に聡い彼らは回り道をして、娘を襲うことを考えました。
山道が一瞬平地となっている場所で彼らは二人を襲いました。
鬼畜のように思いを遂げた彼らは、告発されることを恐れ、
二人を惨殺してしまいました。
翌日、無残な姿となった二人を発見した村人が、
心の底から二人を悼み、
その気持ちをどうしても二人に伝えたくて殺された場所に石仏を建てました。
見知らぬ土地でレイプされて殺される無念、
愛娘を守りきれなくて殺される無念、
その無念を悼み、心根の優しい村人達は忘れることなく、
この峠の石仏の前で手を合わせました。
多少想像力を働かせましたが、事実(おそらく)に基づいた話です。
現在、県立七沢森林公園の峠(巡礼の峠)の広場に建っている石仏にまつわる逸話です。

今日の目的は七沢周辺の紅葉。〆は、「都心に一番近い天延温泉」とういう歌い文句の七沢荘での一泊。妻も一緒。


公園の駐車場に車を停めて、早速ハイキング。
本当の紅葉狩りには、ちょっと早い感じですが、所々真っ赤なモミジと黄色鮮やかなイチョウが、目を楽しませてくれます。
後、2週間もすると文句なしの色となるでしょう。
体重オーバーの体にはちょっときつい登り坂をひたすら登ります。
近頃、特に登りが辛くなりました。年なんでしょう。
登りきると、今度は尾根の山道をテクテクテクテク。
ちょっと、鎌倉のハイキングコースを想起させます。
殺された二人の巡礼者もこの道を歩いたんですね。


そして、ちょっと開けた場所で一休みしたのかもしれません。
今は、ながめの丘となっている場所で、相模の国をしばしの間、眺めたのでしょう。
厚木方面はおろか、遠くに江ノ島もはっきり見えます。
二人が見たこの世の最後の景色です。
すぐ横に例の石仏があります。
ぽつねんと、優しい顔をして。
今は、過去の凄惨な現場だという空気は漂っていません。
ここは関東ふれあいの道というハイキングコースの起点にもなっているので、ハイカー達の目印として存在してるようです。
普通に写真を撮って、タオルで汗を拭い、元気な掛け声を上げて、次の目標地点に向かいます。
今日も、お年寄り達のハイカーが、
「さあ、白山神社、飯山観音に向かうぞ」と気勢を上げてました。
妻と私は、お年寄り程の元気がないので、軟弱にも沢の散歩道というコースを通って、元の場所を目指します。


途中、「猿に注意」「熊に注意」
「マムシに注意」と賑やかですが、元々彼らの住処だったのですから、仕方ありません。
欲望に見境を失くした人間の方が、遥かに注意すべき存在であることは言うまでもありません。


川のせせらぎを共に下り、何とか元の場所に。
森の架け橋が、
ゴールのアーチのよう。
ちょっと早いけど、
宿に向かいましょう。
「全国名湯百選・美肌の湯ベストナイン」
「効く温泉全国ベストテン」と勇ましいキャッチコピーが並びます。
そのせいか、
中は人人人・・・・・・・大盛況ですね。
日帰り温泉も人気のようです。
部屋は二階で眺めも良い、
と、言いたいのですが、生憎、正面に七沢病院リハビリセンターがドーンと聳え立っているので、
ちょっと残念。
でも、それ以外は悪くありません。
駐車場から赤い橋を渡る正面が私達の部屋。
さっきの巡礼峠歩き、
実は1時間程度の歩きでしかなかったので、これで風呂入ってご馳走食べて、では甘いと言わざるを得ないでしょう。
宿を出ると、すぐ、そこは山。
うっすら赤や黄色に染まった里山がニッポンの秋そのもの。
ふと横を見ると、
七沢荘の源泉のヤグラが。
こんなヤグラにも、「都心に一番近い天然温泉」というキャッチが。
かなり宣伝熱心ですね。
TBSでも紹介されたようですが、
商魂逞しくないと生き残れないということでしょうか?
実際、当ブログでも、老舗ではあるけど、早目に行かないと、永遠に行けなくなるかもしれない宿を幾つか紹介しましたもね。
☆閉店してしまった大楠温泉
☆伊豆の踊り子の福田屋、頑張って
☆阿部倉温泉湯ノ沢館、何て華やかな昔の姿
☆安良里、三島由紀夫の宝来屋
☆道志温泉、日野出屋
広沢寺温泉の手前まで歩いて引き返します。
以前紹介した宿があるところです。
広沢寺温泉玉翠楼、小さい秋見つけた歩き
宿に戻ると、勿論、風呂。
さすがに宣伝してるだけあって、かなりイケてます。
写真は、翌朝早朝撮影したものですが、当日は、本当に人人人・・・・
足湯「出会いの湯」の先は、
男湯「天狗の湯」
女湯「美肌の湯」。
風呂は内湯が剛毅な岩風呂で、露天が3種の風呂。
景観もなかなかな味わい。
いつまでもいつまでも
浸かっていたい。
それに、なぜか、
肌がスベスベしてきたような・・・・・
実際、妻も、
「本当に肌がスベスベになったのが感じられる」と喜んでおりました。
厚木駅から車で20分ばかり来れるのだから、
東京の人も気軽に来れるのでしょう。
混むのも自然かも。
さて、風呂の後は、夕食。
大部屋に隣の客と触れあんばかりに座らされるのは今ひとつですが、我慢我慢。
ビールが入っちゃえば、そんなこと忘れちゃいます。
ビールにイノシシ鍋を楽しんだ後は、地元で造っている吟醸酒「清涼吟醸酔」。
「丹沢の名水を醸した盛升」という歌い文句どおり、深みはないけど、ミズミズしい爽やかさ溢れた冷酒。
巡礼峠の哀しい気持ちも忘れ、極楽極楽。
救いようのない酔っ払いオヤジ。
お地蔵様、ごめんなさい。
追記)最初の写真は、七沢森林公園「森の民話館」内に展示されている像です。また、写真は、二日間にわたって撮られたものを掲載しています。






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