「道頓堀から大阪港までハイキング?そんなこと100人の大阪人に聞いたら、100人が呆れて嫌だと言うだろうね」
決まりました、
道頓堀から大阪港まで歩きましょう。
大阪出張で仕事を終え、とある大阪人と話をしていた時のこと。
〆は大阪キタ梅田の天然温泉堂島川温泉です。
キタに温泉?あるんですよ、最近都会のど真ん中のビジネスホテルに温泉が。東京でもあるのですから、大阪にもあるはずです。ホテルドーミーイン梅田東にありました。


スタートは道頓堀川が阪神高速の下の日陰の身から、
晴れてお天道様の下に出る上大和橋付近。
さあ、出発。
道頓堀川横の道を歩きます。
さきほどの大阪人から、「道頓堀川の横には組事務所が一杯あるから怖いで」と言われていましたので、写真も撮らず黙々と歩きます。
しばし行くと、
出ました!
道頓堀!
ここからは堀のすぐ脇の遊歩道を歩きます。
川に面した飲食街・・・・・・
私が大好きな光景。さすが水の都大阪。
東京にはないですよ。
川を見ながら酒を飲む、どれだけ憧れたことか・・・・江戸時代、
欄干に寄り掛かりながら隅田川を眺める遊女の絵を思い出しながら、私も隅田川沿いを勝鬨橋から北千住付近まで全て歩きましたが、
残念ながらありません。
無骨なコンクリートの堤防があるだけです。
神田川だって極少数の例外を除くとありません。
首都高であれ、堤防であれ、
コンクリートが江戸東京の川辺の風情を抹殺してしまったのです。
そこへ行くと大阪は違います。
道頓堀川に面した遊歩道から、
そのまま飲食店に入ることが出来ます。
皆、川を眺めながら食を楽しんでいます。
本当に羨ましい。
ドンキホーテのど派手な観覧車にも度肝を抜かれます。
何ちゅう感覚ねん!と絶句。
私の負けです。
戎橋に到着。
いよいよミナミ中のミナミという雑踏から
御堂筋へ。
ここからはやや趣が変わります。
川横の遊歩道もなくなり普通の道路を歩きます。
といっても、店もラブホも自己主張が強く、ど派手。
明らかに東京とは違います。
大黒橋、深里橋、浮庭橋と
川のある風景が続きます。
ふと下を見ると、不思議な格好をした人達が。
芸人が大道芸でもやっているのでしょうか?
(大きくしてみると分かります。)
そう、ここはなにわ探検クルーズ乗り場でした。
それにしても、なぜこんな格好をしているのでしょう。
客寄せでしょうか?
さすが、
ヤクザと芸人の大阪です。
西道頓堀橋、汐見橋、日吉橋と、
ただただ店、ラブホ、街工場の間を歩き続け、
道頓堀川の終点、
大正橋に到着。
ふと横を見ると、何でしょう?
弔いの石碑が。
何と、津波犠牲者の弔いの石碑でした。
1854年の大地震の後、
津波が押し寄せ、
今見てきた橋は海から逆流してきた津波で、全て壊され、今歩いてきた街々は壊滅した、
と書いてあります。
家々が船!に押し潰されたとも書いてあります。
合掌。
さて、ここからは尻無川と木津川と二手に分かれます。
木津川に沿ってちょっと南下すると、ゴーっと音を立て、目の前をJRの見慣れた電車が。
なぜ中央線快速が?
ではなく、大阪環状線です。
大正駅に到着。
ここから大浪通を西に。
大浪橋付近は既に河口の雰囲気を漂わせています。
川が海と出合う直前の風景は、
私を常にワクワクさせます。
大阪の川だろうが、
東京の川だろうが、
神奈川の川だろうが。
途中、下町風情漂う泉尾商店街を通り抜け、
尻無川にぶつかります。
それにしても、どういう言われか、知りたくなりますよね。
尻無って、
どういう意味なんでしょう?


川幅も大分広くなり、港が近づいていることを感じさせます。
突然、訳の分からない鉄骨が?
そう、尻無川水門です。
何のため・・・・・それは、さきほどの津波・高潮対策のためです。
水の都、大阪を守る砦だ、
と思えば、頼もしい姿です。
いよいよ河口。
そこはもう大きな船がうようよ停泊する大阪港のはずれ。
とはいえ、殺風景な港湾の埋立地と下町風情の住宅地が交じり合った北恩加島、
このあたりの雰囲気は
東京にも神奈川にもありません。
小奇麗なテニスパークの横は大正内港。
船の重油の臭いとテニスする女性の嬌声のミスマッチが
何とも言えません。
さて、ここで決断。
千歳橋を渡るか否か。
随分高そうな橋ですが、
片側一車線の一見頼りなさげにも見える橋。
迷っていても仕方ありません。
渡りましょう。


階段を登り続けると、そこは絶景、大阪の港。
さきほどの大正内港のかなたに見えるのは、かの通天閣でしょうか。
でも、高所恐怖症の人は卒倒しそうな立ち位置。
レインボウブリッジやベイブリッジのようながっしりした安心感のない割には、
高さだけは高いのです。
周りを見渡すと、このような一見細く頼りなさげな割には天高く海をまたいでいる橋の何と多いこと!
東京にも横浜にも決してない一種異様な橋々です。
大阪人は怖さ知らずなんでしょうか?
やや早歩きで海を越え、そそくさと長い階段を降りると、そこは普通の市営住宅。
どこにでもある日本の生活が溢れています。
アパートの間をはしゃぎまわる子供達、ジャージで帰宅する中学生、スーパーの前で立ち話をする主婦、庭の花に水をやる老人・・・・・
一瞬前の異様な体験が嘘のよう。鶴町という街です。
そして、本日の終点、大阪港。
埋立地の先端にIKEAがありますが、
そこまで行かなくても良いでしょう。
ここからでも充分港の光景は楽しめます。
とは言え、市営住宅の皆様、ごめんなさい。
勝手に階段を6階まで上り、写真撮影をさせていただきました。
通報しないでね。
予想どおりやや望遠気味ですが、大海原に出て行く大きな船が良く見えます。
遂に来た、
という感慨が湧きます。
道頓堀から大阪港まで歩く、
という大阪人が阿呆らしくてする気が起こらないハイキングをした達成感です。
2時間半、白いワイシャツに濃紺の背広を着て、
ビジネスシューズで歩きました。
さすがに足の裏がちょっと痛い。
しばし呆然と薄暮の港を眺めます。

大きな船が出て行きます。
でも、拡大して見て下さい。
そのはるか上を自転車で飛ぶように渡っているツワモノを。
私には出来ません。
負けです。
さあ、ハイキングの後は、勿論言うまでもなく温泉風呂です。
鶴町からタクシーで4000円かかりましたが、梅田の宿泊ホテル、
ドーミーイン梅田東に戻りました。
「梅田・ホテル・温泉」
というキーワードで検索して見つけたホテルです。
梅田で温泉?と怪訝に思われる方もいるかもしれませんが、
最近都会のど真ん中に、風呂を楽しめるビジネスホテルって、
意外とあるのですよ。
先月、妻と麹町のルポール麹町(天然温泉ではありませんが、
風呂からの都会風景は素晴らしい)に泊まりました。
内風呂に加え、屋上露天風呂。
誰もいません。
独り占め。
言うことありませんよ。
さすがに景色はありませんが、
極楽極楽。
風呂横には
真赤なモミジの葉が散りばめられ。
都会の片隅の秋の情緒も、
ホテルの人の温かいもてなし心の現われ。
と、突然、頭の上から
「お父さん、ベランダの洗濯物取ってえ」
という女性の声。
えっ??
良く見ると、すぐ横は高いマンション。
ベランダがこちら側を向いています。
そうなんです。
ここは人里離れた山奥ではありません、大都会大阪梅田なんです。
すぐ横の阪神高速の喧騒を味わいながら、
滅多に経験出来ない天然温泉を楽しみましょう。
悪くないですよ。
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